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2019年05月16日

症例26 50代で脊柱管狭窄症の女性

症例


こんにちは。
今回は50歳前後で脊柱管狭窄症と診断された女性の症例をご紹介します!




目次



  1. 患者様について

  2. 所見

  3. 治療と経過


 




患者様について





50代前半  女性





最も困る症状:  腰と脚の痛み。





歩いていると痛み始め、休憩すると痛みが軽くなりまた歩けるようになる。自宅から200〜300メートルの距離を歩くのもつらい。(3年前に腰部脊柱管狭窄症と診断された。)





伴う症状 : ホットフラッシュ(カーッと急に上半身が暑くなり汗が出始める)、不眠(2時間/日)、こちらの患者様は、以前から通院いただいている旦那様のご紹介でご来院されました。





当院に来院するまでに、整形外科に数件通い、ブロック注射や服薬治療、物理療法などを受け、またある病院では漢方を処方されるなどしながら1年ほど治療を続けるもなかなか改善せず。





様々な施術も試そうと整体やAKAなどに通い、1年ほど続けたがなかなか症状が改善せず、困っていた時に旦那様からご紹介を受けたようです。





鍼灸を受けるのは初めてで少し緊張しておられました。







所見





脊柱管狭窄症は背骨の変形した部分が、神経を圧迫する病気です。





とりわけ変形しているのが背骨の後ろの中心部です。





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↑背骨を横にスパっと切った状態の図(4種類)





ここには馬尾(ばび)という神経の束が通っています。この馬尾を圧迫してしまうと脚が痺れたり重くなったりします。長く歩くと痛みや痺れが辛くなり歩けなくなってしまうのです。





鍼灸では骨の形を変えることはできませんが、背骨のまわりにある靭帯、関節包、椎間板といわれる部分の新陳代謝を促すことができます。





それらの組織をフレッシュで弾力のある状況にしていけば、関節内のむくみや関節にかかる圧力が軽くなります。





これにより症状を軽くできる場合があります。
傾向として、脊柱管狭窄症は、年齢が高齢であるほど、症状改善の難易度が上がり、回復に時間がかかったり回復具合がゆるやかになる傾向があります。





高齢になるほど、上に書いたような靭帯や関節包、椎間板といわれる関節まわりの組織の潤いがなくなり、組織に弾力がなくなってしまうからです。





さらに骨の変形が大きかったりと様々な要因が重なります。





この患者様は比較的若くして脊柱管狭窄症にかかっておられましたし、外見からは背骨の変形が大きくなかったので、比較的回復しやすいだろうと判断しました。





簡単な治療ではないので症状に変化が出るまでに3カ月ほどかかるかもしれないとお伝えして施術をスタートしました。





脊柱管狭窄症の診断を受けているとのことでしたので、腰の骨に変形があることは確かでした。





でも外見は背骨が横に曲がっていたり(側弯症)、背骨が丸くなっていたり(円背)はあまりしていません。
腰の骨の後ろの部分のみが変形しているのだろうと推測しました。





また脈は細く沈んで、体力が全然ない状況。





舌は暗い色をしていて、冷えを表していました。





この方の体力がないのは慢性的な不眠のせいだと考えました。なにせ寝つきが悪く、目も覚めやすく、毎日2時間程度しか眠っていないとのことでしたから。





東洋医学では慢性的な疲れは腎臓が弱った状態になると考えます。





そして腎が弱ると腰も弱ります。





不眠 →体力が落ちる→腎が弱る→腰が痛くなる





という流れが出来上がっていました。





ということは不眠も同時に改善していかないとこの方の腰痛は良くならないということになります。





東洋医学ではこれらの症状全体を内臓の働きの悪さと結びつけて考えます。





この方のキーポイントとなるのは腎と心





不眠と関係があるのは、心臓です。





心臓は文字通り、こころ。
不眠になるのはこころが落ち着いていないからだと考えます。





腰痛は上に書いた通り腎臓の弱りと関わりがあります。







治療と経過





今回は腎と心を整えることを中心として針をしていきました。





腎に対しては足の甲のツボ。
腰痛や脚の痛みを減らすツボとしては背中のツボやおしりのツボ、ひざ裏のツボなどを使いました。
また心に対しては手のひらのツボや膝の内側のツボを使いました。





最初は1週間に一度のペースで通院していただきました。





一診目から三診目あたりまでは痛みの変化がまだ大きくは見えませんでした。





ところが四診目の来院時、巨大なイオンの中を休憩しながらも1時間20分歩き回れたとのご報告が!





当初自宅から200メートルほどのお店へ行くのにも自転車を押して休憩しながらしか行けなかったのですからうれしいご報告でした。





五診目〜十診目、症状の増悪をやや繰り返しながらも、近所の買い物程度はあまり休憩せずにこなせるようにまで回復。





調子がよければ、40分ほど歩き続けることもできるように。





この段階で施術頻度を10日に一度にしました。





このあたりから不眠が改善され始め、2時間程度しか眠れなかった睡眠時間が4時間程度に伸び始めました。





それでも一般からすればまだまだ短いですね





十一診目以降、徐々に歩ける距離は伸びて、現在はイオンの中を3時間ほど歩き回れるようになられました。





診察開始から7ヶ月ほど経過しておられますが、現在の状態の維持とさらなる改善を求めて、現在は3週間に一度のペースでご来院中です。





脊柱管狭窄症という病気は骨の変形が関わるものなので、今後うまく付き合っていかなくてはいけません。





良くなって以降もメンテナンスという形でもう少し頻度を落として施術は続けて行く必要はありそうです。




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